前回(第3話)は、木を切るだけのMVPが、意外と「村づくり」に見えてきた話でした。
村を育てたくなった私は、AIに「次はこれを足して」「ここを直して」と、どんどん相談していきます。
すると、ある文書が、じわじわと育っていきました。READMEです。
🌱 この体験記について
AIと一緒に、何もないところから村づくりゲームを作っていく制作途中の記録です。今回は、地味だけれどAI開発でいちばん効いてくる「記録」の話です。
READMEって、そもそも何?
🔤 用語メモ: README(リードミー)
「まず読んでね」という意味の、プロジェクトの説明書ファイルです。起動のしかた、操作方法、注意点などをまとめておく、いわば取扱説明書。開発の世界では、ほぼ必ず用意します。
第2話でMVPができたとき、AIはこのREADMEに、最低限のことだけ書いてくれていました。起動方法、操作方法、そして「今はまだできないこと」。
最初は、数えるほどの行数でした。素っ気ない、短いメモ。
ところが、開発が進むにつれて、これがどんどん分厚くなっていったのです。
気づいたら、攻略本みたいになっていた
村に家を足し、畑を足し、資材の種類を増やし……と機能が増えるたびに、READMEにも項目が積み上がっていきました。
- どうやって起動するか
- どのボタンで何ができるか
- どんな資源があって、どう増えるか
- 今できること、まだできないこと(既知の制限)
- どんな動作確認(テスト)を通したか
気づけば、単なる「説明書」ではなくなっていました。ゲームの中身をひと通り把握できる、まるで攻略本のような分厚さになっていたのです。
自分で作っているゲームなのに、READMEを読み返さないと「あれ、これって今どうなってたっけ?」と分からなくなる。それくらい、ゲームが育っていました。

中身を、ちょっとのぞいてみる
たとえば、こんなことまで書いてありました。
- どのキーで一時停止や速度切替をするか、といった細かい操作
- セーブすると何が保存されて、何は保存されないのか
- まだできていないこと(たとえば、建てた建物を解体する機能はまだ、など)
- 今はパソコンの中だけで完結する版で、オンライン要素や課金は入っていない、という範囲の線引き
とくに「保存されないもの」や「まだできないこと」を、正直に書いてあるのが良いところでした。
できることばかり並べると、あとで「あれ、これできると思ってた」と勘違いします。「ここまでしかできません」と書いておくことが、実は自分を助けてくれるのです。
「あとで分かるだろう」が、いちばん危ない
ここで、私は大事なことに気づきます。
AIと開発していると、作業が速い。次から次へと機能が増えます。
だからこそ、「今どうなっているか」を書き残しておかないと、人間のほうが置いていかれるのです。
「まあ、あとで見れば分かるだろう」。これがいちばん危ない。数日たつと、自分が何を頼んで、何ができていて、何がまだなのか、あっさり忘れます。
そして、記録があいまいだと、AIへの次のお願いもあいまいになります。
こんな感じの違いが出ました(イメージです)。
記録がある時・ない時(イメージ)
記録は、自分のためだけでなく、「AIに正確にお願いするための道具」でもありました。
しかも、これは一度きりの作業ではありません。機能を足すたびに、READMEも一緒に更新していく。少し手間ですが、この「こまめに書き足す」習慣が、あとから効いてきました。逆に、更新をサボると、次に開いたとき自分でも状況が読めなくなります。
今回の学び: AIに作らせるほど、記録がものを言う
📝 今回の学び
AIは速い。だからこそ、人間側が「今どうなっているか」を記録しておかないと、すぐに全体像を見失います。
READMEや仕様書は、ただの説明書ではなく、AI開発の命綱でした。記録がしっかりしているほど、次の依頼も正確になり、ゲームも迷わず育っていきます。
説明書だったはずのREADMEが、攻略本のように育っていく。これはこれで、なかなか楽しい変化でした。
次回は、その育っていく過程で起きた、もうひとつの予想外です。「仮のつもりだった見た目から、勝手に世界観が生えてきた」話に入ります。


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