前回(第1話)は、Xで見たトレード手法をAIに丸投げしようとしたら、いきなりコードではなく「どこで動かすか」で止まり、テスト環境のあるHyperliquidを選んだところまで書きました。
今回は、その続きです。
ボットのロジックを作る前に、まず「練習場」を整える話。地味です。でも、ここでしっかりつまずきました。
⚠ この連載について
この連載は、AIを使った自動取引ボット作成の体験記です。投資助言や売買推奨ではありません。暗号資産は大きく値動きし、損失が出る可能性があります。実際に試す場合は、必ず自己責任で、余剰資金の範囲で判断してください。
今回の流れ
- Hyperliquidのtestnetで、まずFaucetからテスト用USDCをもらう
- その後、プログラムから使えるようにAPI設定を進める
- API設定中にAIへ「次はどこを押せばいいか」と何度も聞く
- AIの説明と実際の画面が違うときは、スクリーンショットを見せて確認する
- 残高は画面にあるのに、プログラムからは見えずに詰まる
- Spot側に入っていたUSDCをPerp側へ移し、ようやく残高確認まで進む
まずはFaucetで「テスト用のお金」をもらう
私の頭の中では、もうボットが動いているくらいの気持ちでした。
でも現実は、Hyperliquidのテスト環境(testnet)を使えるようにするところからスタートです。
testnetというのは、本番そっくりの練習用の環境のことです。本物のお金ではなく、テスト用の通貨で注文の練習ができます。
テスト環境で最初にすることは、テスト用の通貨をもらうことでした。
ここで出てきたのが「Faucet(フォーセット)」という仕組みです。
Faucetは、英語で「蛇口(じゃぐち)」という意味。テスト用の通貨を無料で配ってくれる、練習用のお小遣い窓口のようなものです。
私は、案内されたページ https://app.hyperliquid-testnet.xyz/drip で、テスト用のUSDC(ドルに連動するテスト通貨)をもらいました。
画面には、ちゃんと残高が表示されています。
「お、入った。これでボットに動かしてもらえる」
そう思いました。
ここまでは、順調だったのです。
API設定で、画面迷子になる
テスト用USDCをもらったあと、次はプログラムからHyperliquidを使えるようにする設定です。
ここでAPI設定が出てきました。
APIは、取引所へ直接お願いするための窓口のようなものだと、私は理解しました。
そして、このAPI設定の部分で、一番AIに質問しました。
分からない画面が出るたびに、AIに聞くのです。
「次はどこを押せばいいですか」
「この画面で合っていますか」
「というか、画面を直接動かしてもらえませんか」
最後のはわがままですが、本気で言いました。
AIの説明が、実際の画面と合わないこともありました。
たとえばAIが「右上にあるこのボタンを押してください」と言う。
でも、私の画面にはそのボタンがない。
こういうときは、スクリーンショットを撮ってAIに見せていました。
「今この画面です。どこを押せばいいですか?」
そうやって、AIに画面を確認してもらいながら、少しずつ進めていました。
ただ、そのときメインで使っていたのはAntigravityでした。
当時の私が使っていた環境では、AIが私のブラウザを直接操作する機能はありませんでした。
もしかすると、別のAIや別の環境ならできたのかもしれません。
でも、そのときボタンを押すのは私。AIは横で手順を教えてくれる先生で、私は同じ画面を三回見失う生徒でした。

そのときの会話イメージ
用語メモ
testnet: 本物のお金を使わず、テスト用の通貨で動作確認できる練習環境です。
Faucet: testnet用の通貨をもらうためのページです。練習用の蛇口のようなものです。
API: プログラムから取引所に残高確認や注文をお願いするための窓口です。
Spot / Perp: ざっくり言うと、Spotは現物側、Perpは無期限先物側の置き場です。今回ここで混乱しました。
ところが、プログラムから「お金が見えない」
問題は、その次でした。
ボットがちゃんと残高を確認できるか、プログラムから見てみます。
すると——見えないのです。
画面にはテスト用USDCがあるのに、プログラム側から残高を聞くと、ゼロのような顔をされる。
「いやいや、さっき入れたよね?」
私は何度も画面とプログラムを見比べました。お金はある。でもプログラムは見つけられない。
この、「資金はある」のに「プログラムからは見えない」という状態。これが地味に、いちばん心が折れかけたところでした。
今回の落とし穴
思っていたこと: 画面にUSDCが表示されていれば、プログラムからも当然見える。
現実: 画面で見える残高と、APIで確認できる残高は、見ている場所や条件が違うことがありました。
「Spotにあります」と言われても、意味が分からない
AIや案内に従って原因を探ると、こう言われます。
「Perp(無期限先物)の口座にUSDCを移してください」
取引所の中には、用途ごとに口座が分かれていることがあります。今回で言えば、現物っぽい置き場(Spot)と、先物用の置き場(Perp)のようなイメージです。
ボットはPerpの口座を見にいっていたのに、お金は別の場所にあった。だから見えなかったわけです。
ログを確認していくと、テスト用USDCはたしかにありました。
ただし、ボットが見にいっている場所とは違うところにありました。
AIは、ウォレットアドレスとAPIウォレットの設定を確認し、ようやくこう言いました。
「見つけました。USDCはSpot残高に入っています」
……Spot。
また新しい言葉です。
画面にはお金がある。AIも「あります」と言う。でも、ボットはまだ見つけられない。
このあたりから、私はだいぶ無言になっていました。たぶん画面の前で、かなり静かに混乱していました。
結局、Spot側にあったテスト用USDCを、Perp側のマージン口座へ移す処理を行うことで、ようやくボットから残高が見えるようになりました。
ログ上では、この時点でテスト用USDCがPerp側へ反映され、ボット側にも残高が表示されました。
「やった、やっと見えた」
たったそれだけのことなのに、なぜか一仕事終えた気分でした。
ここでやっと到達した状態
テスト用USDCをもらった。
プログラムから残高を確認できた。
でも、まだ取引ロジックは本格的に動かしていない。つまり、ようやく「入口のドアが開いた」くらいです。
念のため書いておくと、この時点ではまだ、肝心のYoshi botのロジックは1行も作っていません。
ただ「環境が見える」状態にしただけ。それだけで、半日くらい溶けました。
今回の学び
第2話の学びは、これです。
「資金がある」と「プログラムから資金が見える」は、別の問題。
自動取引ボットは、手法をコードにする前に、取引所・API・テスト資金・残高確認という土台が必要でした。
そして、AIに聞けば手順は出てきます。でも、少なくとも当時の環境では、画面の操作や細かい例外は、結局そのつど自分で確認するしかありませんでした。
AIの案内に出てくるボタンが、実際の画面にないこともあります。
そのときは、スクリーンショットを見せて「今この画面です」と確認してもらう方が、文章だけで悩み続けるより早いと分かりました。
テスト環境ですら、実際の仕様とAIの説明がズレることがある。
この「ズレ」を自分で確認できないと、本番ではもっと危ない、と地味に思い知りました。
次回(第3話)は、いよいよXの投稿をもとに、Yoshi botのプログラムをAIに組んでもらう話です。
正直に言うと、私は水平線の意味すら、ちゃんと分かっていませんでした。
それなのにAIは思ったより賢く、プログラム自体はできてしまう。
「分かっていない人間」と「書けてしまうAI」の組み合わせが、いちばん怖いのかもしれません。
💬 コメントでの指摘も歓迎です
この連載は、私自身も勉強しながら進めている実験記録です。投資手法そのものへのご意見や、「テスト環境のここは危ないのでは?」「残高確認はこう考えるべきでは?」といった問題点の指摘があれば、ぜひコメント欄で教えてください。個別銘柄の売買指示ではなく、安全面・検証面の気づきとして、今後の検証や続きの記事の参考にします。


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