前回(第8話)は、2つのボットを同時に動かそうとして、画面とログに振り回された話でした。
なんとか2体を見守る体制になり、私はしばらく画面を眺めていました。
そして、ある時ふと気づきます。
あれ、けっこう負けてないか……?
⚠ この連載について
この連載は、AIを使った自動取引ボット作成の体験記です。投資助言や売買推奨ではありません。暗号資産は大きく値動きし、損失が出る可能性があります。実際に試す場合は、必ず自己責任で、余剰資金の範囲で判断してください。
今回の流れ
- テストネット上で、約1,500ドル前後の残高に対して50ドル以上負けて見えて、固まる
- AIに「これは正常ですか?」と聞く
- AIの答えは「設定上は想定内です」
- 想定内でも、人間は普通に怖い
- 「全部負けるなら逆に張れば?」という素朴な疑問が出る
- 原因はロジックの弱点にあると分かってくる
50ドル以上負けているように見えて、固まった
画面を見ていて、私は固まりました。
SOL(ソラナという通貨です)あたりで、テストネット上の残高が、50ドル以上マイナスになっているように見えたのです。
念のため書いておくと、これはテスト用の通貨で、本物のお金ではありません。
このときの口座残高は、ざっくり約1,500ドル前後のテスト用USDCでした。
つまり、50ドルのマイナスは、残高全体の約3%強です。もし100ドルしかない状態で50ドル減っていたら大事件ですが、1,500ドル前後のテスト残高に対しては「一撃で終わり」という数字ではありません。
それでも、頭ではそう分かっていても、画面の数字が減っていくのは、地味に胃に来ます。
しかも、見ているとほとんどが負け。
「あれ、これ、勝ってる取引どこ?」
私は、けっこう本気で青ざめました。
AIの答えは「設定上は想定内です」
あわてて、私はAIに聞きました。
「ヨシボットで50ドル以上負けていますが、これは正常ですか?」
AIの返事は、とても落ち着いていました。
そのときの会話イメージ
ここでいう「5%」というのは、1回の取引で、口座のお金の5%くらいまでは負けても許す、というルールのことでした。
この場面では口座残高が約1,500ドル前後だったので、5%はおよそ75ドルです。AIから見ると、50ドル台のマイナスは「設定した最大リスクの範囲内」に見えていたわけです。
理屈は分かります。負ける額をあらかじめ決めておくのは、むしろ大事なことです。
でも、その「想定内」が、私には普通に怖かったのです。
いや、想定内でも怖いものは怖い
ここで、AIと私の温度差が、はっきり出ました。
AIは、冷静です。「設定通りに動いています」と言います。
私は、画面を見て冷や汗をかいています。
数字の上では「想定内」でも、それを見ている人間の心臓は、想定内では済みません。
このとき、私はひとつ大事なことに気づきました。
AIが計算した「許容できるリスク」と、私が実際に見て「耐えられるリスク」は、別物だということです。
1回の取引で5%という数字も、机の上では小さく見えます。でも、それが何回か続いて、画面の残高が減っていくのを見ると、まったく小さく感じませんでした。
全部負けるなら逆に張ればいいのでは?
そして、ここで私の頭に、いかにも初心者らしい考えが浮かびます。
「ほとんど全部負けているなら……逆に張れば、勝てるんじゃないか?」
我ながら、元気な発想です。
もちろん、そんな単純な話ではありませんでした。
AIにこの疑問をぶつけると、返ってきたのは、はっきりした注意でした。
単純に逆をやればいい、という話ではない。負けている原因をちゃんと検証するべきだ、と。
実際に見直してみると、ロジックの弱点が見えてきました。
検証で見えてきた弱点(テストネット上の話)
- 損切りラインが狭すぎて、ちょっと逆に動いただけですぐ切られる
- 下落しているのに、途中の支え(サポート)付近で売りに入ってしまう場面がある
- 結果として、入った直後に不利な方向へ動きやすい形になっていた
つまり、「全部負けるから逆」ではなく、「負けやすい入り方をしていたから、まず入り方を見直す」という話でした。
改善の方向としては、損切りの幅を少し広げる、戻りを売る形だけに絞る、といった案が出ました。
ただし——これで勝てるようになる、という意味ではありません。あくまで、弱点をつぶすための検証です。ここは、何度でも自分に言い聞かせました。
今回の落とし穴
思っていたこと: 全部負けているなら、逆に張れば勝てるはず。
現実: 「逆張りすれば勝てる」は、ただの思いつきでした。大事なのは、なぜ負けやすい形になっているのかを検証すること。原因を見ずに反対をやっても、別の負け方をするだけです。
今回の学び: AIのリスク計算と、人間の許容範囲は違う
第9話の学びは、これです。
AIが「想定内」と言うリスクと、人間が見て耐えられるリスクは、別物。
AIは、決めた設定の通りに、淡々と計算します。
5%なら5%、その範囲で動いているなら「正常です」と言います。
でも、その数字を実際に見て、ドキドキしたり、夜に気になったりするのは人間です。
だから、リスクの設定は、AI任せにしてはいけませんでした。
「自分が画面を見て、平気でいられる範囲はどこか」。
これは、AIではなく、自分で決めることだったのです。
テストネットでこれだけ怖いのだから、本物のお金だったら、たぶん私は眠れません。
次回は、この負けっぱなしの状況を受けて、いったん全部を閉じて、まっさらからやり直すことにした話です。
💬 コメントでの指摘も歓迎です
この連載は、私自身も勉強しながら進めている実験記録です。投資手法そのものへのご意見や、「このリスク設定は危ないのでは?」「損切り幅の考え方はこうすべきでは?」といった問題点の指摘があれば、ぜひコメント欄で教えてください。個別銘柄の売買指示ではなく、安全面・検証面の気づきとして、今後の検証や続きの記事の参考にします。


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